深層学習の最小単位である『パーセプトロン』を見ていきます。複雑に見えるニューラルネットワークも、中身はこの小さな計算ユニットがたくさん並んでいるだけ。今日はその1個の動き方を、身近な判断の例で理解しましょう。1957年に提案された古典ですが、今の最新AIもこの発想の延長線上にあります。
パーセプトロンって、1個のニューロンを数式にしたやつ……だっけ? あたしぜんぜんわかんないから、最初から教えて!
ふふ、いいわよ。
パーセプトロンは、複数の入力 x1, x2, … に重み w1, w2, … をかけて合計し、さらにバイアスという調整値を足した結果が、ある閾値を超えたら1を、超えなかったら0を出力するの。
この『0か1か』の判定が1個のニューロンの役割ね。
式で書くと y = step(w1·x1 + w2·x2 + b)。
入力に重みをかけて足し合わせる部分は、後の記事で扱う活性化関数の前段階に相当します。
パーセプトロンではこの活性化関数がシンプルな『階段関数 (ステップ関数)』なのですね。
難しそうだけど……要は『YES/NO判定マシン』ってこと? ON/OFFのスイッチみたいな?
とても良い言い方ね! 例えば『今日、外食するか?』という判断で考えてみましょう。
お金に余裕がある (重み 0.7)、時間に余裕がある (重み 0.3)、この2条件を重み付きで足して、基準 0.5 を超えたら外食する、というような決め方になるの。
重みはそれぞれの条件の重要度、バイアスは『デフォルトでどのくらい外食しがちか』という底上げ値ね。
うぅ〜ん……それってましろの『今日のおやつ何にする?』と同じ仕組みなのぉ? 甘いもの食べたい度と、お腹空いてる度の足し算みたいな?
そうそう、まさにそれよ。
人間の脳細胞 (ニューロン) は、電気信号が一定以上溜まると発火するのだけど、パーセプトロンはその仕組みをそのまま数式にしたものなの。
1957年にローゼンブラットという研究者が提案した、AI史の出発点のひとつね。
ただしパーセプトロン1つだけでは、ANDやORのような線形分離可能な問題しか解けないんですよね。
線形分離? うーん、それがわかんない……。
グラフの上に点を並べたとき、1本の直線でYESとNOに分けられる問題のことよ。
XOR (排他的論理和) という有名な問題は、どう直線を引いてもYES/NOを分離できないの。
これがマービン・ミンスキーらによって1969年に指摘されて、第一次AIブームが終わる原因のひとつになったわ。
ここでパーセプトロンを何層にも重ねる『多層パーセプトロン (MLP)』にすると、非線形なXOR問題も解けるようになります。
これが深層学習の発想の原点ですね。
わぁ、1個じゃできないことも、みんなで重なれば解けるんですねっ! なんだか人間関係みたいですぅ。
そうそう、1人では難しい判断も、チームで集まれば決められる。
パーセプトロンもまさにその通りなのよ。
確認クイズ
単層パーセプトロンで解けない問題として有名なものはどれか?
- AND演算
- OR演算
- XOR演算
- NOT演算
こたえを見る
正解: 3. XOR演算
単層パーセプトロンは線形分離可能な問題 (AND、OR、NOT) は解けますが、XOR問題は1本の直線で分離できないため解けません。これを解決するために多層化するのが深層学習の出発点となりました。