先生、最近AIで人気キャラに似た画像を作る人が話題になっていて、『著作権』だけでは捉えきれない問題もあるように感じました。
(あらあら、鋭いところに気づいたわね)つむぎさん、大事な論点ね。
著作権は『創作表現』を守る権利だけれど、知的財産権はそれだけじゃないの。
今日はその全体像を整理しましょう。
著作権以外もあるんすか?
絵を勝手に使っちゃダメ、ぐらいしか知らなかったなぁ。
大きく分けると、①著作権、②特許権、③商標権、④意匠権、⑤肖像権、⑥パブリシティ権——この6つが主役ね。
どれも目的と保護対象が違うの。
ふぇぇ…こんなにあるの? 頭がぐるぐるするよぉ…
ましろちゃん、大丈夫。
AIとの関係で特に出てくるのは、著作権に加えて『肖像権』『パブリシティ権』『商標権』あたり。
まずはここを重点に押さえれば全体が見えてくるよ。
そうね。
例えば実在の有名人の顔をAIで合成するディープフェイクは、著作権よりも肖像権・パブリシティ権の侵害がより直接的に問題になるの。
有名人の許可なく顔を使って広告作ったら、肖像権もパブリシティ権もアウトってことね。
付け加えると、企業ロゴをAIで再現して勝手に商品を作れば商標権の問題になりますし、製品の外観デザインを模倣すれば意匠権の問題になります。
特許はAIそのものが発明者になれるかという論点もあるわ。
世界的には『発明者は自然人でなければならない』という判断が主流よ。
日本・米国・英国の特許庁も、AIを発明者とする出願を原則認めていないの。
『発明した人は誰?』って聞かれたとき、AIを指差してもダメなんだね…
AIが設計図やアイデアを出しても、最終判断と責任は人間にある、というのが各国の共通姿勢です。
AIがぽんって出してくれた絵でも、元になった人や企業の権利を考えないといけないんだねぇ…絵や音楽の『誰のもの?』って、結構入り組んでるんだねぇ。
そうなんだよ。
便利だからこそ、使う側が権利を意識する責任が重くなる。
著作権だけでは保護されない『声の個性』を守るために、パブリシティ権の適用範囲を広げる議論も進んでいます。
声優さんの声をAIで再現する問題は、著作権・パブリシティ権の両方に関わる複雑な論点ですね。
試験では『知的財産権=著作権だけではない』という多層構造の理解が問われるの。
特に肖像権・パブリシティ権は民法・判例上の権利で、条文上の『著作権法』の外にある点も押さえておいて。
アイドルの声マネAIとか、キャラのロゴ入り商品をAIで作るとか、使う側が『どの権利に触れそうか』を考えるクセをつけなきゃってことね。
あたし、妹の誕生日にAIでイラスト作ろうと思ってたけど、既存キャラの改変版はやめとこっ。
そのリテラシーがないと、いくらAIで作れても使っちゃダメなんだね。
確認クイズ
AIで実在の有名人そっくりの動画を作り広告に使う場合、最も直接的に問題となる権利はどれ?
- 特許権
- 意匠権
- パブリシティ権・肖像権
- 著作権法第30条の4の情報解析規定
こたえを見る
正解: 3. パブリシティ権・肖像権
実在人物の顔・姿を無断で経済活動に利用する行為は、肖像権および有名人に認められるパブリシティ権の侵害が最も直接的な問題となります。著作権は『表現の創作』を保護する権利であり、人物そのものの権利は対象外である点に注意しましょう。